眼鏡技術者・朝倉松五郎の遺志を継いだ妻 内国勧業博覧会で賞を獲得

公開日: 更新日:

 ウィーン博覧会で「機械によるメガネの作製」の技術を学んだ朝倉松五郎(株式会社朝倉メガネの創始者)は眼鏡技術者だけでなく、のちに日本の写真家となる人材なども育てながらも、残念ながら1876年(明治9年)に病死してしまいます。その技術を継いだのがその弟子と妻の朝倉サヨら家族でした。

 翌年、東京・上野で開催された第1回内国勧業博覧会では、眼鏡関係では12人、28点が出品されましたが、その中に松五郎の妻サヨの名前が出ています。サヨはメガネでなく角形顕微鏡を出品していましたが、「顕微鏡を初めてすべて西洋の機械で製造し普通のメガネにいたるまで精巧に作ることを期待している」として賞状を受けています。ここで言う「西洋の機械」とは松五郎がウィーンで買い付けたもので、のちに政府から貸し与えられたものであったそうです。

 その後もサヨは内国勧業博覧会に出品を続け、第3回には「一等有功賞」を獲得しています。内国勧業博覧会は、殖産興業の一環として明治政府が力を注いだ事業であり、メガネの近代化にいかに政府が期待していたかがわかります。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本は強い国か…「障害者年金」を半分に減額とは

  2. 2

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  3. 3

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  4. 4

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  5. 5

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  1. 6

    侍Jで加速する「チーム大谷」…国内組で浮上する“後方支援”要員の投打ベテラン

  2. 7

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    高市政権の物価高対策「自治体が自由に使える=丸投げ」に大ブーイング…ネットでも「おこめ券はいらない!」