【つつが虫病】ダニの一種に刺されて… 刺し口、発熱、皮疹が主要三徴候
前回、日本紅斑熱と症状がよく似ている疾患として「つつが虫病」について少しだけ触れました。つつが虫病は、日本紅斑熱と同じくリケッチア(微生物)が原因となる感染症です。
ダニの一種であるツツガムシに刺されることで、ダニが保有するつつが虫病リケッチアに感染してしまうのです。日本紅斑熱より潜伏期間は少し長めで、ツツガムシに刺されてから5~14日ほどで全身倦怠感、食欲不振とともに頭痛、悪寒、高熱などを伴って発症します。
ツツガムシの刺し口が残っているのも特徴で、刺し口は直径1センチほどで黒いかさぶたのような形状をしていて、このような刺し口・発熱・皮疹をつつが虫病の「主要三徴候」と呼びます。日本紅斑熱とは異なり、皮疹は体幹に多く四肢には少ないという特徴もあります。
治療が遅れたり重症の場合は、肺炎や脳炎症状を起こすケースもあるため、一刻も早く抗生物質による治療を行う必要があります。日本紅斑熱と同様にペニシリン系やセフェム系といったβ-ラクタム系抗生物質はリケッチアには無効なので注意が必要です。やはり他のリケッチアによる疾患と同様に、テトラサイクリン系抗生物質が有効で、第1選択薬として用いられます。