著者のコラム一覧
名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

「検定」の危うさと「推定」のあいまいさ…医者も理解しているとは限らない

公開日: 更新日:

 1つ例を挙げるならば、これまで取り上げてきたデンマークのランダム化比較試験の結果を、「危険率が38%で5%より大きいのでマスクの効果はない」と判断してしまうことである。逆にこの論文が示す危険率が5%より小さければ「マスクは有効だ」と判断してしまうのも同様な間違いである。

■「統計学的な有意差」と「臨床的な有効性」は別物

 そもそも危険率から「効果あり/なし」の判断をするのは、統計学的にも簡単なことではない。

 危険率は、マスクを着けるよう勧める行為が、勧めない場合に対して、「まぐれで効果ありとなる確率」と考えればよいと前回説明した。

 そもそも、まぐれで効果ありとなった可能性が5%より小さければ、まぐれではなく真に有効とするのも、実は伝統的、習慣的に決まっているにすぎない。危険率5%、つまり20回に1回の偶然は許容しようというのは、極めてあいまいな基準で、もっと緩くする基準を利用することも可能だし、もっと厳しい基準を採用することも可能である。そこに科学的に明確な基準はないのである。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高市政権の物価高対策「自治体が自由に使える=丸投げ」に大ブーイング…ネットでも「おこめ券はいらない!」

  2. 2

    円安地獄で青天井の物価高…もう怪しくなってきた高市経済政策の薄っぺら

  3. 3

    現行保険証の「来年3月まで使用延長」がマイナ混乱に拍車…周知不足の怠慢行政

  4. 4

    ドジャース大谷翔平が目指すは「来季60本15勝」…オフの肉体改造へスタジアム施設をフル活用

  5. 5

    実は失言じゃなかった? 「おじいさんにトドメ」発言のtimelesz篠塚大輝に集まった意外な賛辞

  1. 6

    佐々木朗希がドジャース狙うCY賞左腕スクーバルの「交換要員」になる可能性…1年で見切りつけられそうな裏側

  2. 7

    【武道館】で開催されたザ・タイガース解散コンサートを見に来た加橋かつみ

  3. 8

    “第二のガーシー”高岡蒼佑が次に矛先を向けかねない “宮崎あおいじゃない”女優の顔ぶれ

  4. 9

    二階俊博氏は引退、公明党も連立離脱…日中緊張でも高市政権に“パイプ役”不在の危うさ

  5. 10

    菊池風磨率いるtimeleszにはすでに亀裂か…“容姿イジリ”が早速炎上でファンに弁明