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名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

「検定」の危うさと「推定」のあいまいさ…医者も理解しているとは限らない

公開日: 更新日:

 重要なことは、危険率から「有効/有効でない」という、はっきりとした判断をする統計学的検定には大きな問題があるということである。そこで最近は「危険率による検定」ではなく、「信頼区間による推定」を用いようとする大きな流れがある。結果のあいまいさをあいまいなままに理解しようという方向である。

 デンマークの研究では、コロナ発症率の絶対危険減少の95%信頼区間がマイナス1.2~0.4%と報告されている(95%信頼区間とは同じような研究を100回行えば95回はその範囲に収まると推定されるものを指す)。

 ただこれも「95%」信頼区間であって、「危険率が5%より小さいと有効」というのと同様にあいまいに決められた範囲に過ぎない。

 しかし信頼区間による推定は、このあいまいさをそのまま受け入れ、95%というあいまいな基準で示される範囲の中で、「効果を大きく見積もった場合には1.2%コロナ発症を少なくするかもしれない」「小さく見積もった場合には0.4%増やすかもしれない」というふうに、有効/有効でないという紋切り型の判断に結び付けず、臨床的にマスクを勧める/勧めないという判断に直接結び付けないようにしている点で、検定結果を直接臨床的な行為につなげてしまう間違いを避ける効果がある。

 これが、統計学的な検討が検定から推定へと移行している背景のひとつなのである。

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