著者のコラム一覧
名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

マスクの予防効果を検討…もうひとつのランダム化比較試験「バングラデシュの研究」

公開日: 更新日:

 さらにこの研究では布マスクとサージカルマスクの両方を使用しており、それぞれの検討結果も示されている。布マスクグループの相対危険と95%信頼区間は0.925(0.766~1.083)、サージカルマスクグループでは0.894(0.782~1.007)である。

 この結果だけを見ると、布マスクもサージカルマスクも統計学的に有意とは言えない結果であるが、これは2つのグループに分けたために参加者の数が減った影響が大きい。しかし、世に流れる情報の中にはこのグループ別の結果のみの結果を流し、統計学的な差はなかったと結論するようなものがある。

 こうした全参加者のうち一定の条件を満たしたものに限って行う検討を「サブグループ分析」と呼ぶ。サブグループ分析には参加者数が減少するために統計学的な有意差が出にくいという部分と、逆に極端な結果が出やすく有意差が出やすいという両面がある。いずれにせよ偶然の影響が大きく、どのような結果であっても注意が必要、有意差の有無を無条件に受け入れてはいけない。統計学的な有意差を見るのであれば、全体の検討結果のみを対象とすべきである。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動