著者のコラム一覧
東敬一朗石川県・金沢市「浅ノ川総合病院」薬剤部主任。薬剤師

1976年、愛知県生まれの三重県育ち。摂南大学卒。金沢大学大学院修了。薬学博士。日本リハビリテーション栄養学会理事。日本臨床栄養代謝学会代議員。栄養サポートチーム専門療法士、老年薬学指導薬剤師など、栄養や高齢者の薬物療法に関する専門資格を取得。

帯状疱疹の痛みには一般的な鎮痛薬ではあまり効果が得られない

公開日: 更新日:

 抗ウイルス薬の効果で水痘・帯状疱疹ウイルスの増殖が抑制され、皮膚症状が改善したとしても、「ピリピリした痛み」が長期間続くことがあります。長い場合には数カ月続くケースもあり、帯状疱疹の症状の中では多くの方が困るもののひとつです。前回、水痘・帯状疱疹ウイルスが神経に存在しているとお話ししましたが、このウイルスは神経を障害することでピリピリした痛みを起こします。

 一般的にヒトの組織の中でも、脳や神経は一度傷ついてしまうとほとんど治らない、あるいは治るのに長い時間がかかってしまうという特徴があります。帯状疱疹による痛みが長期間続くケースがあるのは、この特徴に起因しています。

 帯状疱疹による痛みに対しては、一般的な鎮痛薬ではあまり効果が得られません。今後、鎮痛薬についても紹介する予定ですが、一般的な鎮痛薬は直接神経に作用するようなものではないからです。よく用いられるのはビタミンB12です。クスリの成分名でいうとメコバラミンになるのですが、このビタミンは神経にとって重要なもので、末梢神経障害などでよく用いられています。帯状疱疹による痛みは神経の障害によるものなので、そこの修復を促すというのがこのビタミンを用いる目的になるわけですが、残念ながら即効性はありません。長期間服用することで、「そういえば痛みがよくなってきたかな」と感じるくらいです。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    侍ジャパンに日韓戦への出場辞退相次ぐワケ…「今後さらに増える」の見立てまで

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  4. 4

    “新コメ大臣”鈴木憲和農相が早くも大炎上! 37万トン減産決定で生産者と消費者の分断加速

  5. 5

    侍J井端監督が仕掛ける巨人・岡本和真への「恩の取り立て」…メジャー組でも“代表選出”の深謀遠慮

  1. 6

    巨人が助っ人左腕ケイ争奪戦に殴り込み…メジャー含む“四つ巴”のマネーゲーム勃発へ

  2. 7

    藤川阪神で加速する恐怖政治…2コーチの退団、異動は“ケンカ別れ”だった

  3. 8

    支持率8割超でも選挙に勝てない「高市バブル」の落とし穴…保守王国の首長選で大差ボロ負けの異常事態

  4. 9

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  5. 10

    和田アキ子が明かした「57年間給料制」の内訳と若手タレントたちが仰天した“特別待遇”列伝