帯状疱疹の痛みには一般的な鎮痛薬ではあまり効果が得られない
抗ウイルス薬の効果で水痘・帯状疱疹ウイルスの増殖が抑制され、皮膚症状が改善したとしても、「ピリピリした痛み」が長期間続くことがあります。長い場合には数カ月続くケースもあり、帯状疱疹の症状の中では多くの方が困るもののひとつです。前回、水痘・帯状疱疹ウイルスが神経に存在しているとお話ししましたが、このウイルスは神経を障害することでピリピリした痛みを起こします。
一般的にヒトの組織の中でも、脳や神経は一度傷ついてしまうとほとんど治らない、あるいは治るのに長い時間がかかってしまうという特徴があります。帯状疱疹による痛みが長期間続くケースがあるのは、この特徴に起因しています。
帯状疱疹による痛みに対しては、一般的な鎮痛薬ではあまり効果が得られません。今後、鎮痛薬についても紹介する予定ですが、一般的な鎮痛薬は直接神経に作用するようなものではないからです。よく用いられるのはビタミンB12です。クスリの成分名でいうとメコバラミンになるのですが、このビタミンは神経にとって重要なもので、末梢神経障害などでよく用いられています。帯状疱疹による痛みは神経の障害によるものなので、そこの修復を促すというのがこのビタミンを用いる目的になるわけですが、残念ながら即効性はありません。長期間服用することで、「そういえば痛みがよくなってきたかな」と感じるくらいです。