インフルとコロナ感染拡大…学校関係者はマスクに関する科学的研究成果を知るべきだ
これはコホート研究の結果であるので、最も問題になるのは交絡(注4)因子の存在である。マスクを付けるような教師や子供は他にも感染予防をしっかりやっている可能性が高く、それがマスクの効果の過大評価につながる。ただこの研究では多変量解析(注5)が行われており、一応、交絡因子の考慮はされている。
もちろん、ランダム化比較試験と違って考慮されていない未知の交絡因子の可能性が残る点はコホート研究ではいかんともしがたい。しかしその反面、地域の学校の大部分を調査できるという大きなメリットもある。特殊な人や特殊な地域が参加しがちなランダム化比較試験と異なり、一般的な場所で何が起こっているかについては、コホート研究の方が勝るのである。
しかしながら、コホート研究の結果とはいえ、相対危険0.12という結果をもたらすような大きなバイアスの可能性は低いかもしれない。ただ秋のワクチン後には効果が見られなかったという結果からすれば、この相対危険0.12はやはり効果を過大評価した極端な結果である可能性もある。結果の解釈にはさまざまな困難がある。