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名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

「情報の当てはまり」について改めて考える…動物とヒトとの距離は遠い

公開日: 更新日:

「情報そのものの正しさ」と「当てはまりの正しさ」を区別して考える。そのことについて引き続き考えていきたい。

 以前、試験管内の実験や動物実験による病態生理、メカニズムは仮説に過ぎないということを強調した。それも、情報そのものの正しさと当てはまりの正しさとして考えるとわかりやすい。いくら実験が正しく行われ、妥当な結果を得たとしても、つまり情報そのものとして正しいとしても、それがヒトにどう当てはまるかは別の問題なのである。さらに、試験管や動物の実験と現実のヒトとの距離はかなり遠く、当てはまると考えるのは基本的に困難ということだ。

 医学に関わるニュースのかなりの部分が試験管や動物実験のデータであったりするのだが、それらのニュースは実は現実の医療に関して、その時点で何の関係もないものがほとんどである。そのニュースで取り上げられた実験によって、その時点での医療が変わるということはない。もちろん10年後にはその実験がもとになって有効な薬が生み出されるかもしれないが、それは今のことではなく、未来の話に過ぎない。

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