著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

中性脂肪が多い方が認知症になりにくい? 神経医学専門誌で報告

公開日: 更新日:

 コレステロールと中性脂肪はどちらも血液中に存在する脂質で、体で重要な役割を果たしている成分ですが、その過剰はいずれも動脈硬化を進行させ、心筋梗塞脳卒中などの病気のリスクを高めるといわれています。実際に心筋梗塞を起こした人が、薬でコレステロールを低下させると、その再発が予防されることが確認されています。

 動脈硬化の進行は、認知症のリスクとしても重要です。そのことからは、血液中のコレステロールや中性脂肪を下げることが、認知症の予防にもつながると考えられます。ところが、実際には高齢者ではコレステロールが少し高めである方が、認知症が少ないと報告されています。

 それでは、中性脂肪についてはどうなのでしょうか? 今年の神経医学の専門誌に、1.8万人以上を解析した研究結果が報告されています。

 それによると、65歳以上の年齢では、血液中の中性脂肪が少し高めである方が、認知症になるリスクは低くなっていました。つまり、コレステロールも中性脂肪も、たしかに中年くらいまでの年齢では、低い方がより病気のリスクも低いのですが、高齢者ではむしろ少し高めである方が、認知機能の低下には結びつきにくいようなのです。

 もちろん、これは「やや高い」場合の話で、極端に高い場合には当てはまらないので、その点には注意が必要です。

 何事もほどほどが大切であるようです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    中学受験で慶応普通部に進んだ石坂浩二も圧倒された「幼稚舎」組の生意気さ 大学時代に石井ふく子の目にとまる

  2. 2

    横浜とのFA交渉で引っ掛かった森祇晶監督の冷淡 落合博満さんは非通知着信で「探り」を入れてきた

  3. 3

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  4. 4

    国宝級イケメンの松村北斗は転校した堀越高校から亜細亜大に進学 仕事と学業の両立をしっかり

  5. 5

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  1. 6

    日本人選手で初めてサングラスとリストバンドを着用した、陰のファッションリーダー

  2. 7

    【京都府立鴨沂高校】という沢田研二の出身校の歩き方

  3. 8

    「核兵器保有すべき」放言の高市首相側近は何者なのか? 官房長官は火消しに躍起も辞任は不可避

  4. 9

    複雑なコードとリズムを世に広めた編曲 松任谷正隆の偉業

  5. 10

    中日からFA宣言した交渉の一部始終 2001年オフは「残留」と「移籍」で揺れる毎日を過ごした