「脂質異常症」放置するとどうなる? 認知症の発症にも関与
「血糖値や血圧が高いと『治療が必要なのかな』と思うんですが、コレステロールが高いっていうのは、いまいちピンとこないんです」
こんなふうに言うのは、55歳のYさん。
コレステロールが高い場合に診断されるのが、脂質異常症。かつては高脂血症と呼ばれていた病気です。
コレステロールには、LDLコレステロールとHDLコレステロールがあります。LDLコレステロールは、いわゆる悪玉コレステロールと呼ばれるもの。HDLは善玉コレステロールと呼ばれています。どちらも血中に含まれる脂質(血中脂質)です。
血中脂質には、中性脂肪もあります。コレステロールと中性脂肪はどちらも脂質ですが、働きが異なります。コレステロールは、細胞膜を構成する成分で、ホルモンや胆汁酸の材料にもなります。一方、中性脂肪は活動するためのエネルギー源となります。
コレステロールも中性脂肪も生きていく上で必要ですが、量のバランスが崩れると害になる。LDLコレステロールは増えすぎると血管壁にたまり、血管の機能を低下させます。HDLコレステロールは減りすぎると余分なコレステロールを十分に回収できません。そして中性脂肪は過剰になると体脂肪として蓄積されてしまいます。
血液中でコレステロールや中性脂肪の量のバランスが崩れた状態が脂質異常症です。
脂質異常症は、血管が硬くなる動脈硬化を進行させ、脳卒中や心筋梗塞などのリスクを上げます。糖尿病や高血圧と同様に、しっかりと対策を講じなくてはならない。
また、脂質異常症がある人は、糖尿病や高血圧も抱えていることが少なくありません。