レビー小体型認知症は最初に幻視・妄想やパーキンソン症状が現れる
「半年ほど前、78歳の夫がレビー小体型認知症と診断されました」
こう話す女性は、夫婦2人暮らし。娘が電車で15分ほどの距離に住んでいるものの、子育て中ということもあり極力頼らず介護に当たっているそうで、「アルツハイマー型認知症はなんとなく症状が想像つきますが、レビー小体型認知症は、名前を聞いてもピンと来ませんでした。解説している本をいっぱい読みました」(女性)。
レビー小体型認知症は、アルツハイマー型認知症、血管性認知症に次いで多い認知症です。
αシヌクレインというタンパク質を核とする物質(レビー小体)が大脳皮質にたまり、脳の神経細胞が死滅していくことで症状が現れます。はっきりした脳の萎縮は見られないことが多い。
一方、アルツハイマー型認知症はアミロイドβの蓄積から始まり、海馬を中心に脳の萎縮が見られます。血管性認知症は脳梗塞や脳出血が原因で脳の血液循環が悪くなり、脳の一部が壊死する。レビー小体型認知症とは、脳の変化の様子が異なります。
ちなみに、この認知症を世界で初めて発見したのは日本人で、昨年お亡くなりになられた横浜市立大名誉教授の小阪憲司先生です。筆者にとって学位論文のご指導を受けた恩師でもあります。1976年のこと。その後、「レビー小体型認知症」と名付けられ、それまで知られていたアルツハイマー型認知症と異なる症状を持つ認知症として、国際的に注目されるようになりました。
レビー小体型認知症は最初に幻視・妄想や、パーキンソン症状が見られることが多い。アルツハイマー型認知症では早くから見られる物忘れは、レビー小体型ではなかなか出てきません。