認知症の原因物質の蓄積の有無がわかる「アミロイドPET検査」どう活用すべきか
アルツハイマー病発症の引き金となるタンパク質、アミロイドβ。これが脳に蓄積しているかどうかを調べられる検査「アミロイドPET」を受けられる医療機関が増えています。
当院が開業した2018年には、アメリカでは300を超える施設でアミロイドPET検査を行っているのに対し、日本でアミロイドPET検査を受けられる施設は10カ所未満でした。認知症専門医が担当し、その後の対策と治療を包括的に行っているクリニックとなると、私のところくらいだったでしょうか。
今回は、「アミロイドPET検査をどう活用すべきか」をテーマにしたいと思います。
アミロイドPETは、アミロイドβに取り込まれる性質を持つ放射性製剤を体内に投与し、MRIなどには映らないアミロイドβの沈着の度合いを画像で確認する検査機器です。
冒頭で触れたように、アミロイドβは、アルツハイマー病の発症の引き金になるタンパク質で、アルツハイマー病を発症する20~30年前からたまり始めます。アルツハイマー病患者が70歳代以降に多いことを考えると、40~50歳代からたまり始めるということになります。
ですから、この年代からアミロイドPET検査を受ければ、将来、アルツハイマー病のリスクがどうなのかを、ある程度予想できます(認知症にはほかのリスク因子もありますから、100%予想できるわけではありません)。
「アミロイドPET検査をどう活用すべきか」と申し上げましたが、現在、アミロイドPET検査には、「アルツハイマー病の治療のために用いる」という目的があります。