アルツハイマー病治療最前線 発症前からの薬投与で認知機能低下を抑える

公開日: 更新日:

 アルツハイマー病の原因物質アミロイドβをより早い段階で除去し、認知機能低下を遅らせる。それを目的に、現在行われているのが「プレクリニカル期」での薬の投与だ。前々回、前回に続き、日本認知症学会理事長で東大大学院医学系研究科神経病理学分野の岩坪威教授に話を聞いた。

 ◇  ◇  ◇

 プレクリニカル期とは、アルツハイマー病で認知症を発症するかなり前、アミロイドβが蓄積してアミロイド斑ができている段階を指す。

 つまり、タウタンパク質の蓄積や神経細胞の死滅はごく軽い(囲み参照)、認知機能が正常な段階だ。

「アミロイドβのスイッチが入ってから薬を投与するのでは、認知機能低下を十分に抑制できません。理論的には、薬の投与は早いほどいい。プレクリニカル期にソラネズマブを投与した研究では、残念ながら認知機能の低下抑制の効果は認められませんでしたが、同じプレクリニカル期でも、アミロイドβの蓄積量が多いほど、認知機能低下も進行することがわかりました。現在実施中の、レカネマブをプレクリニカル期に投与するAHEAD研究では、アミロイドβが蓄積し始めた段階と、蓄積がはっきり確認できる段階とで研究が行われています」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    「踊る大捜査線」12年ぶり新作映画に「Dr.コトー診療所」の悲劇再来の予感…《ジャニタレやめて》の声も

    「踊る大捜査線」12年ぶり新作映画に「Dr.コトー診療所」の悲劇再来の予感…《ジャニタレやめて》の声も

  2. 2
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 3
    一門親方衆が口を揃える大の里の“問題” 「まずは稽古」「そのためにも稽古」「まだまだ足りない稽古」

    一門親方衆が口を揃える大の里の“問題” 「まずは稽古」「そのためにも稽古」「まだまだ足りない稽古」

  4. 4
    阪神岡田監督の気になる進退 来季続投がスジだが…単純にそうはいかない複雑事情

    阪神岡田監督の気になる進退 来季続投がスジだが…単純にそうはいかない複雑事情

  5. 5
    織田裕二がフジテレビと決別の衝撃…「踊る大捜査線」続編に出演せず、柳葉敏郎が単独主演

    織田裕二がフジテレビと決別の衝撃…「踊る大捜査線」続編に出演せず、柳葉敏郎が単独主演

  1. 6
    大谷への理不尽な「ボール球」ストライク判定は差別ゆえ…米国人の根底に“猛烈な敵愾心”

    大谷への理不尽な「ボール球」ストライク判定は差別ゆえ…米国人の根底に“猛烈な敵愾心”

  2. 7
    巨人・岡本和真「急失速の真犯人」…19打席ぶり安打もトンネル脱出の気配いまだ見えず

    巨人・岡本和真「急失速の真犯人」…19打席ぶり安打もトンネル脱出の気配いまだ見えず

  3. 8
    新関脇・大の里の「大関昇進の壁」を親方衆が懸念…看過できない“練習態度”の評判

    新関脇・大の里の「大関昇進の壁」を親方衆が懸念…看過できない“練習態度”の評判

  4. 9
    高橋一生「ブラック・ジャック」高視聴率も続編困難か…永尾柚乃“完璧ピノコ”再現に年齢の壁

    高橋一生「ブラック・ジャック」高視聴率も続編困難か…永尾柚乃“完璧ピノコ”再現に年齢の壁

  5. 10
    阪神岡田監督の焦りを盟友・掛布雅之氏がズバリ指摘…状態上がらぬ佐藤輝、大山、ゲラを呼び戻し

    阪神岡田監督の焦りを盟友・掛布雅之氏がズバリ指摘…状態上がらぬ佐藤輝、大山、ゲラを呼び戻し