心臓の健康にいいダイエットとはどのようなものなのか
これまで何度もお話ししてきたように、「肥満」は心臓にとって大敵です。多くの研究から、高コレステロール、高血糖、高血圧のリスクを高め、動脈硬化を促進して、心血管疾患を発症しやすくすることがわかっています。ですから、心臓を守るためにもダイエットが推奨されていて、とりわけ“肥満大国”の米国ではたくさんのダイエット法が登場しています。
昨年、米心臓協会(AHA)がそうしたさまざまなダイエット法を考察し、「心臓の健康にいいダイエット、悪いダイエット」を発表しました。それによると、心臓にいいダイエットのトップには「DASHダイエット」が挙げられています。これは高血圧を防ぐ食事法で、脂肪の多い肉類、砂糖を含む飲料や菓子類、飽和脂肪酸の多い食品を減らし、鶏肉、魚、野菜、海藻、果物、ナッツ類、全粒穀物、低脂肪の乳製品などを十分に摂取するというものです。次いで、同じように魚、野菜、豆類を中心に摂取し、肉類、卵、チーズ、ヨーグルトなどは控えめにする「地中海式ダイエット」もランクインしました。
一方、心臓に悪いダイエットとして「ケトジェニックダイエット」と「パレオダイエット」が挙がっています。前者は糖質を制限するダイエットのひとつで、糖質を避ける食事をしつつ、カロリーは、肉類、魚、卵、野菜、ナッツ、脂肪と油などから摂取するというものです。後者は旧石器時代の人々が食べていた食材を中心に摂取し、肉類、魚、野菜、果物、ナッツなどを取り、穀物、乳製品、加工食品は避けるというものです。どちらの食事法も、脂肪が多く、食物繊維が少ないという点が心血管疾患の発症につながるリスクがあると指摘されています。