著者のコラム一覧
荒川隆之薬剤師

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

【毒蛇咬傷】噛まれてもほとんど症状が出ない人がいる

公開日: 更新日:

 暑い季節になるとアウトドアでの活動が増えます。同時に蛇に噛まれて病院に運ばれる人も増えてきます。日本には60種類程度の蛇が存在しているといわれていて、中でも毒蛇に噛まれると命に関わるケースもあります。「毒蛇咬傷」による入院で最も頻度が高いのがマムシ、次いでハブ、まれにヤマカガシといわれています。

 日本におけるマムシ咬傷の発生件数は年間1000~3000件程度と報告されていて、死亡者も毎年10人ほど出ています。毒蛇に噛まれて医療機関に運ばれた場合、すぐに抗毒素(血清)を注射する処置が行われます。しかし、抗毒素は常備している医療機関と、常備していない医療機関があります。実際、私が以前勤務していた病院には毒蛇の抗毒素は置いていませんでした。現在勤務している病院には「乾燥まむしウマ抗毒素」が常備されていて、毎年使われています。

 じつはこの抗毒素、非常に高価で1本7万円以上もするのです。ちなみにハブの抗毒素は1本約20万円です。これら抗毒素は、馬の血液から作られています。毒蛇から採取した毒液をごく少量だけ馬に注入し、およそ半年かけて体内でその毒の抗体を作らせてから「血清」として精製します。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  2. 2

    阪神・佐藤輝明にライバル球団は戦々恐々…甲子園でのGG初受賞にこれだけの価値

  3. 3

    FNS歌謡祭“アイドルフェス化”の是非…FRUITS ZIPPER、CANDY TUNE登場も「特別感」はナゼなくなった?

  4. 4

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  5. 5

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋

  1. 6

    兵庫県・斎藤元彦知事らを待ち受ける検察審の壁…嫌疑不十分で不起訴も「一件落着」にはまだ早い

  2. 7

    カズレーザーは埼玉県立熊谷高校、二階堂ふみは都立八潮高校からそれぞれ同志社と慶応に進学

  3. 8

    日本の刑事裁判では被告人の尊厳が守られていない

  4. 9

    1試合で「勝利」と「セーブ」を同時達成 プロ野球でたった1度きり、永遠に破られない怪記録

  5. 10

    加速する「黒字リストラ」…早期・希望退職6年ぶり高水準、人手不足でも関係なし