尿路上皮がん治療最前線…全生存期間がグッと延びている
■免疫チェックポイント阻害薬の登場が転機に
ターニングポイントとなったのが免疫チェックポイント阻害薬の登場だ。私たちの体には「異物を見つけて攻撃する働き」と「攻撃にブレーキをかける働き」の両方が備わっている。がんは「ブレーキの働き」を利用し、免疫細胞ががんを見つけて攻撃するのを止める。免疫チェックポイント阻害薬は、免疫細胞にかかった「ブレーキ」を外し、本来の働きを取り戻させる薬だ。
「進行尿路上皮がんにも17年に免疫チェックポイント阻害薬が承認。GC療法後の『2次治療』として使われることで、それまでの全生存期間14カ月から17カ月に延びました。そこで次に、1次療法における免疫チェックポイント阻害薬とGC療法の『併用治療』の臨床試験が2通り実施されました。しかし、どちらも期待していた効果は得られなかった」
一方、ほぼ同じ時期に行われていた臨床試験が免疫チェックポイント阻害薬の「維持治療」だ。前出の2次治療は「GC療法が効かなくなった後、次の策として免疫チェックポイント阻害薬を使う」。併用治療は「GC療法をやりつつ、併用して免疫チェックポイント阻害薬を使う」。これらに対し維持治療は「GC療法の効果維持のため、GC療法後に免疫チェックポイント阻害薬を使う」。