年を取って聞き返すことが増えた…認知症予防のために「補聴器」を
2017年と20年に、世界的に権威のある医学誌ランセットが「認知症の40%は予防可能で、そのうち難聴が最大の危険因子」と指摘した。中年期に難聴があると高齢期に認知症のリスクが2倍上昇するとの報告もある。慶応義塾大学病院聴覚センター長の大石直樹医師(耳鼻咽喉科・頭頚部外科准教授)に話を聞いた。
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難聴には加齢が関係していて、年を取れば誰もが難聴となる。大事なのは、難聴が及ぼす影響をしっかり認識すること。
冒頭で、難聴が認知症に関係しているとのランセットの発表に触れた。
聴力と脳の関係を示した研究は複数ある。56~86歳の126人(聴力正常群75人、同低下群51人)を平均6.4年間追跡した研究では、聴力低下群で有意に脳の容積の減少が認められたという結果が発表されている。
全米国民健康栄養調査を受けた60歳代605人の知能評価と聴力の関係に対する解析では、25デシベルの聴力低下に伴う認知機能の低下は、7年の経年変化とほぼ等価との試算。一方で補聴器使用者は、聴力低下の重症度、年齢、性、人種、教育レベル、収入を調整しても有意に知能検査のスコアが高かった。