年を取って聞き返すことが増えた…認知症予防のために「補聴器」を
慶応病院での研究でも、聴力、補聴器がそれぞれ認知機能にマイナス・プラスの影響を与えることを示している。
「補聴器を使っていない55人に対し、3年以上補聴器を使っている62人は認知機能が高く、使っていない人では聴力が悪いほど認知機能も低下していました。補聴器が認知機能低下を予防した可能性が考えられます」(大石直樹医師=以下同)
難聴は認知機能に関係するだけではない。人の話が聞き取れず、電話ができず、人との交流が減り、孤独に陥りがち。会話を楽しんだり家族とテレビを見たりといったことが減れば、生活がつまらなく、気持ちが暗くなるだろう。
「最近は、難聴が疲労感を招くことも判明しています。外国語は、母国語と比べて聞き取りに努力が必要で疲れやすくなるでしょう。難聴もそれと同様のことが起こるのです。聞き取り努力が大きく、『リスニングエフォート』(※)を大きく必要とするので、会話をすると頭が疲れやすくなります」
※聴覚情報を理解する際、妨害要因を乗り越えるために、意図的に心的リソースを配分すること