著者のコラム一覧
堀田秀吾明治大学教授、言語学者

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

意図的に環境を整備することで意思決定や行動を変えられる

公開日: 更新日:

 私たちの意思決定は環境に左右されているといっても過言ではありません。やらなければいけない課題があるのに、スマホをいじってしまうのはなぜでしょうか? 手の届く範囲にスマホがあるからです。仮に、金庫の中にスマホを入れてロックしてしまえば、容易にスマホに触れることはできなくなります。

 車を運転しながらコンビニを探しているとき、皆さんは左側車線沿いにコンビニがあればいいなと思うはずです。それは、車を止めやすい環境であることを、私たちが認識しているからです。

 アメリカの経済学者のリチャード・セイラーが2017年にノーベル経済学賞を受賞したことで広く知られるようになった「ナッジ」という行動経済学の用語があります。端的に説明するなら「行動科学の知見を利用し、人々の選択の自由を損なうことなく環境を整えることで、本人や社会にとって好ましい行動を実現させる方法」のことです。

 実際、私たちの生活にはナッジがたくさん導入されています。

 たとえば、トイレにある「いつもきれいに使っていただいて、ありがとうございます」という張り紙。こうした張り紙を見ると、不思議と「きれいに使わなければいけない」と感じてしまうのは、まさにナッジを活用した事例です。また、コロナ禍の際に、ソーシャルディスタンスを保つために足元に靴のマークが描かれているケースが多数ありましたが、皆さん、無意識にマークに足を置いたはずです。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高嶋ちさ子「暗号資産広告塔」報道ではがれ始めた”セレブ2世タレント”のメッキ

  2. 2

    フジテレビ「第三者委員会報告」に中居正広氏は戦々恐々か…相手女性との“同意の有無”は?

  3. 3

    大阪万博開幕まで2週間、パビリオン未完成で“見切り発車”へ…現場作業員が「絶対間に合わない」と断言

  4. 4

    兵庫県・斎藤元彦知事を追い詰めるTBS「報道特集」本気ジャーナリズムの真骨頂

  5. 5

    歌手・中孝介が銭湯で「やった」こと…不同意性行容疑で現行犯逮捕

  1. 6

    大友康平「HOUND DOG」45周年ライブで観客からヤジ! 同い年の仲良しサザン桑田佳祐と比較されがちなワケ

  2. 7

    冬ドラマを彩った女優たち…広瀬すず「別格の美しさ」、吉岡里帆「ほほ笑みの女優」、小芝風花「ジャポニズム女優」

  3. 8

    佐々木朗希の足を引っ張りかねない捕手問題…正妻スミスにはメジャー「ワーストクラス」の数字ずらり

  4. 9

    やなせたかし氏が「アンパンマン」で残した“遺産400億円”の行方

  5. 10

    別居から4年…宮沢りえが離婚発表「新たな気持ちで前進」