命を延ばす薬(2)心不全に対するβ遮断薬は1カ月半の延命効果
心筋梗塞などの心臓病を発症すると、心臓の機能が低下し、やがて血液を十分に送り出せなくなってしまうことがあります。
心臓のポンプ機能が低下したこの状態は心不全と呼ばれ、全身がむくんでしまったり、息切れや疲れが出やすくなったりします。心不全の治療にはさまざまな薬が用いられます。β遮断薬はそのうちのひとつです。
心不全に至ると、衰えたポンプ機能を補おうと、心臓の働きを活性化するためのホルモンが分泌されます。
アドレナリンは心臓の働きを活性化するホルモンのひとつですが、長きにわたってアドレナリンが分泌され続けると心臓に大きな負担がかかり、心不全の状態がよりひどくなるという悪循環が生じます。
β遮断薬は、アドレナリンの働きを抑えることで心臓にかかる負担を減らし、ポンプ機能を維持する目的で使用します。心不全に対するβ遮断薬の効果については、いくつかの臨床試験で死亡リスクの低下が報告されており、延命に対して一定の効果が期待できると考えられてきました。