著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

命を延ばす薬(2)心不全に対するβ遮断薬は1カ月半の延命効果

公開日: 更新日:

 心筋梗塞などの心臓病を発症すると、心臓の機能が低下し、やがて血液を十分に送り出せなくなってしまうことがあります。

 心臓のポンプ機能が低下したこの状態は心不全と呼ばれ、全身がむくんでしまったり、息切れや疲れが出やすくなったりします。心不全の治療にはさまざまな薬が用いられます。β遮断薬はそのうちのひとつです。

 心不全に至ると、衰えたポンプ機能を補おうと、心臓の働きを活性化するためのホルモンが分泌されます。

 アドレナリンは心臓の働きを活性化するホルモンのひとつですが、長きにわたってアドレナリンが分泌され続けると心臓に大きな負担がかかり、心不全の状態がよりひどくなるという悪循環が生じます。

 β遮断薬は、アドレナリンの働きを抑えることで心臓にかかる負担を減らし、ポンプ機能を維持する目的で使用します。心不全に対するβ遮断薬の効果については、いくつかの臨床試験で死亡リスクの低下が報告されており、延命に対して一定の効果が期待できると考えられてきました。

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