命を延ばす薬(3)「スタチン」の延命効果は5年間の追跡調査で12.6日
悪玉コレステロールの値が高くなると、血管の内側にコレステロールが蓄積しやすくなります。コレステロールが血管の内側に蓄積していくと、徐々に血管の弾力性が失われ、動脈硬化と呼ばれる状態が引き起こされます。動脈硬化の状態では、血管の内部が詰まりやすくなり、心筋梗塞や脳梗塞の発症リスクが高まります。そのため、薬によってコレステロールを下げる治療が行われます。
「スタチン」と呼ばれる薬は、コレステロールを下げるだけでなく、動脈硬化を予防することで、心筋梗塞などの心臓病や脳卒中の発症リスクを低下させると考えられています。実際、いくつかの臨床試験では、スタチンの投与によって心臓病の発症リスクが2~3割ほど減少することが報告されています。
スタチンはまた、心臓病や脳卒中を予防することで、延命効果も得られる可能性が報告されています。スタチンの有効性を検討した臨床試験16件を集めて統合解析した研究によれば、スタチンを服用した人では、プラセボ(スタチンの偽薬)を服用した人と比べて、12.6日間の延命が得られました。
たった12.6日だと思われるかもしれませんが、この解析結果は、臨床試験の調査期間を5年と想定して得られた延命期間であり、実際の寿命で考えれば、より長い延命期間が得られると考えられます。