命を延ばす薬(3)「スタチン」の延命効果は5年間の追跡調査で12.6日
もし仮に、臨床試験の調査期間と解析結果が比例しているのであれば、30年間の調査期間では、6倍である75.6日(約2カ月半)の延命期間と見積もることができます。もちろん、この見積もりは仮説にすぎませんが、スタチンの延命効果をより想像しやすいデータだと思います。
この研究ではまた、過去に心臓病を発症した人では、スタチンの延命効果がさらに長くなる可能性も示されており、プラセボを服用した人に比べて、スタチンを服用した人で17日間の延命が得られました。
2020年には、心臓病を原因とする死亡に対するスタチンの延命効果を検討した研究も報告されています。臨床試験19件を集めて統合分析したこの研究では、プラセボを服用した人に比べて、スタチンを服用した人で、心臓病による死亡が9.3日延長していました。
この結果もまた、臨床試験の調査期間を5年間と想定して得られた延命効果であり、実際の寿命に換算すると、より長い延命が得られると考えられます。この研究ではまた、スタチンの服用によって、心筋梗塞の発生が18日ほど延長され、脳卒中の発生が6日ほど延長される可能性も示されています。