著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

コレステロール降下薬で肝臓がんを予防? 20万人の解析から判明

公開日: 更新日:

 肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれているように、その機能がある程度低下しても、痛みなどの症状が出ないことが多く、検査をしてみたら重症の状態だった、ということも多いのが特徴です。

 その進行した状態は肝硬変と呼ばれ、肝臓の機能が高度に低下して、その名前の通り肝臓は硬くなり、お腹に水がたまったり、黄疸(おうだん)と言って皮膚が黄色くなったり、食道から出血するなどの症状も出ます。肝硬変ではまた、肝臓がんも増加することが知られています。肝臓を悪くする原因には肥満やお酒の飲み過ぎなど、生活習慣で改善可能なものもありますが、体質などそれでは改善の難しいものもあります。肝臓病の何か良い予防法はないのでしょうか?

 注目されている薬のひとつが、コレステロール降下剤の「スタチン」です。スタチンはコレステロールを合成する酵素の阻害剤で、強力にコレステロールを下げる作用があり、それ以外にも体の炎症を抑えたり、肝臓が硬くなる原因である繊維化を抑えたりと、肝臓に良い作用も多くあることが分かっています。今年の米国医師会関連の医学誌に掲載された論文によると、20万人以上の大規模な健康情報を解析した結果として、スタチンの使用はその後の肝臓病のリスクを15%、肝臓病による死亡のリスクを28%、肝臓がんのリスクについては42%も低下させていました。コレステロールの薬は、肝臓の薬でもあるのかもしれません。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    西武ならレギュラー?FA権行使の阪神・原口文仁にオリ、楽天、ロッテからも意外な需要

  2. 2

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動

  3. 3

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  4. 4

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏の勝因は「SNS戦略」って本当?TV情報番組では法規制に言及したタレントも

  5. 5

    小泉今日子×小林聡美「団地のふたり」も《もう見ない》…“バディー”ドラマ「喧嘩シーン」への嫌悪感

  1. 6

    国内男子ツアーの惨状招いた「元凶」…虫食い日程、録画放送、低レベルなコース

  2. 7

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  3. 8

    首都圏の「住み続けたい駅」1位、2位の超意外! かつて人気の吉祥寺は46位、代官山は15位

  4. 9

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏圧勝のウラ パワハラ疑惑の前職を勝たせた「同情論」と「陰謀論」

  5. 10

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇