著者のコラム一覧
小林佳樹金融ジャーナリスト

銀行・証券・保険業界などの金融界を40年近く取材するベテラン記者。政界・官界・民間企業のトライアングルを取材の基盤にしている。神出鬼没が身上で、親密な政治家からは「服部半蔵」と呼ばれている。本人はアカデミックな「マクロ経済」を論じたいのだが、周囲から期待されているのはディープな「裏話」であることに悩んで40年が経過してしまった。アナリスト崩れである。

農林中金の資本増強はJA、JA信農連との“三位一体”の証し…今期純損失は1.5兆円の見通し

公開日: 更新日:

 だが、「JAの経営は農林中金による利益還元によってはじめて維持できている。農林中金のグローバル運用は、日本の農業を守る生命維持装置」(JA関係者)だ。半面、ガバナンスは底辺を支えるJAが握っている。株式会社で言えば、大株主はJAであり、重要な決定権はJAが持ち、全国500におよぶJAの代表権を持つ全国農業協同組合中央会(JA全中)が握っている。今回の農林中金の1兆3000億円におよぶ資本増強にJAが応じるのは、そうしたガバナンスゆえであり、JA、JA信農連、農林中金は三位一体の関係にあることを表している。「JAなくして農林中金は存在しえず、農林中金なくしてJAは生きていけない。互助の関係」(JA関係者)なのだ。

 ここにきて農林中金の危機の震源である米国の長期金利は低下傾向にある。農林中金にとっては、保有債券の含み損が減少する可能性があり、経営的には追い風が吹き始めた。農林中金の経営はV字回復する可能性が高い。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • トピックスのアクセスランキング

  1. 1

    「高島屋」の営業利益が過去最高を更新…百貨店衰退期に“独り勝ち”が続く背景

  2. 2

    大阪万博は開幕1カ月を待たずトラブル続出…場当たり説明でGW後半の盛り上げムードに水を差す協会の大罪

  3. 3

    赤沢経済再生相「2回目」関税交渉に早くも不発の予兆…切り札の“ジープ特例”ほぼ効果なしと識者バッサリ

  4. 4

    何者かが無断でクリームパン訪問販売…「八天堂」も被害か? 状況は「清水屋」に酷似

  5. 5

    ついに出た4つ目のクラウン、新型エステート登場! コイツがもしや“ベスト”なのか?

  1. 6

    国内自動車大手6社で減益4兆円の恐れ…トランプ関税と円高のWパンチで「我が世の春」の終焉

  2. 7

    トランプ関税で「過去80年間の世界経済システムがリセットされた」 IMFの警告が示唆するもの

  3. 8

    「プーチン心停止で影武者代行」情報…訪中大失敗のストレス、ロ国内に広がる大統領5選は無理の空気

  4. 9

    飛び交う玉木雄一郎代表「12月辞任説」…国民民主党ついに倫理委員会で“グラドル不倫”調査

  5. 10

    データセンターの地方分散が急加速 首都圏や大阪圏への集中から北海度、九州へ

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    もしやり直せるなら、入学しない…暴力に翻弄されたPL学園野球部の事実上の廃部状態に思うこと

  2. 2

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  3. 3

    永野芽郁は疑惑晴れずも日曜劇場「キャスター」降板回避か…田中圭・妻の出方次第という見方も

  4. 4

    巨人阿部監督が見切り発車で田中将大に「ローテ当確」出した本当の理由とは???

  5. 5

    「高島屋」の営業利益が過去最高を更新…百貨店衰退期に“独り勝ち”が続く背景

  1. 6

    かつて控えだった同級生は、わずか27歳でなぜPL学園監督になれたのか

  2. 7

    JLPGA専務理事内定が人知れず“降格”に急転!背景に“不適切発言”疑惑と見え隠れする隠蔽体質

  3. 8

    「俳優座」の精神を反故にした無茶苦茶な日本の文化行政

  4. 9

    (72)寅さんをやり込めた、とっておきの「博さん語録」

  5. 10

    第3の男?イケメン俳優が永野芽郁の"不倫記事"をリポストして物議…終わらない騒動