製薬企業リストラ相次ぎ、次の焦点に…小野薬品「オプジーボ」特許切れで生じる衝撃波
新薬創出型の製薬企業にとってリストラはもろ刃の剣──だ。「カネ食い虫」(業界準大手首脳)とされる多額の研究開発費が減ってコスト構造の改善が見込める半面、頭脳流出で「明日のメシのタネ」(事情通)まで失うリスクをはらむ。
SNSや口コミを通じてリストラの苛烈な実相が外部に拡散すれば、研究開発要員の再補充など将来の人材確保に支障を来す恐れも否めない。
「成長機会を自ら摘み取るようなもの」(業界筋)だ。それでも「背に腹は代えられない」といったところか。製薬企業のリストラ劇が相次いでいる。
7月末に三菱ケミカルグループ傘下の田辺三菱製薬が連結従業員数の4割に当たる約2200人を対象とした人員削減策を発表したのに続いて、住友ファーマが国内で過去最大となる約700人の早期退職の実施を公表。8月初旬には最大手の武田薬品工業も国内で希望退職を募ると表明した。
田辺三菱は「募集枠」を定めず、武田は今後、労組との協議を経て対象部門や人数、時期などを決める。同社は米国でも1000人規模の人員カットを含む構造改革に乗り出しており、これを国内にも広げる。