実力至上主義はもう建前…プロ野球選手「年俸の理不尽」
■旧態依然の慣習も横行
逆に戦力過剰のソフトバンクでは、こうはいかない。大半の若手は一軍の試合に出場する機会すら与えられず、二軍でひたすら「育成」の毎日。本人は「まだやれる」と思っていても、層の厚い一軍の壁を越えられず、年齢だけを重ねて引退する者も少なくない。
プロ野球が実力至上主義の世界というのは建前。実力の突出した選手はともかく、大半はチーム事情に左右される。選手起用はおろか、コーチ人事に至るまで、コネや学閥といった旧態依然とした慣習も横行している。
プロ野球ファンの矢口高雄氏は「人間の社会ですから、そうした事情があるのも無理はありませんが……」と、こう話す。
「私も漫画家になる前は10年あまり銀行員をしていました。やはり有名大学を卒業した社員は、タテにもヨコにもつながりが広い。学閥を非常につくりやすい環境ではありました。でも、スポーツの世界はそうであってほしくない。学閥はもちろん、高卒とか大卒とか、そうした区別がない世界だとファンは期待しています。チャンスは実力のみによって与えられるべきだし、年俸も働きと期待度によって決まるべきでしょう」