実力至上主義はもう建前…プロ野球選手「年俸の理不尽」
師走の札幌に札束が乱れ飛んだ。
1日に行われた日本ハムの契約更改。盗塁王に輝いた中島卓也(24)は倍増となる年俸8000万円、打率.326(リーグ3位)の近藤健介(22)は3000万円アップの4800万円、30盗塁(リーグ3位)の西川遥輝(23)は1400万円増となる6200万円で、それぞれ快くハンコを押した。
いずれも高卒でプロ入りした20代前半の若手たち。同じ年齢でこれだけ稼げる職業など、他にあるかどうか。さすがプロ野球の世界は違う――と思いたいところだが、彼らが若くして大金を手にしているのはチーム事情によるところが大きい。
チームの硬直化を嫌う日本ハムは、選手の促成栽培に力を入れている。エネルギッシュな若手を積極的に起用。素質ある選手が埋もれそうになれば、ベテランを放出してでも出場機会を与える。そうやってバリバリの主力に成長したのが中島ら3人なのだ。
高卒2年目にして4000万円アップの年俸6500万円を勝ち取った楽天の松井裕樹(20)も、他球団ならどうだったか。抑えに配置転換された今季は球団新記録となる33セーブを挙げたが、これは守護神不在というチーム事情によるもの。先発のままならば、制球難に足を引っ張られてロクな成績を残せなかった可能性もあった。