実力至上主義はもう建前…プロ野球選手「年俸の理不尽」
日本の野球の競技人口は700万人以上といわれている。彼らの全員がプロを目指すわけではないにせよ、育成選手を除いてドラフトで指名されるのは年間100人にも満たない。東大や一流企業に入るより、はるかに「狭き門」なのだ。
それでいて平均実働年数は短い。近畿大学産業理工学部経営ビジネス学科の黒田次郎准教授の論文によれば、「01~07年に引退した538選手の平均在籍年数は8・5年」。彼らの生涯賃金は平均して「2億3276万円(推定)」だが、一部の高年俸選手に引っ張られた数字であることは否定できない。今季の平均年俸3811万円も、大半の選手はそれ以下ということになる。
スクール東京・最高名誉顧問で組織論が専門の成川豊彦氏が言う。
「2億3276万円という数字は、サラリーマンの生涯賃金とそうは変わらない。たった数年でそれだけ稼ぐといえば割がいいように思えますが、実際はもっと安い選手の方が圧倒的に多い。しかも、野球選手は引退後の商売に困るといわれる。下手をすれば、プロで手にした額イコール人生で稼いだお金ともなりかねない。そう考えると、彼らの年俸は安い。これでは夢も希望もありませんよ」
狭き門をくぐり抜け、自分と同じかそれ以上のフィジカルエリートたちと競争をし、情実や学閥といった理不尽に揉まれた結果がこれでは、到底報われない。プロ野球選手の年俸をもっと上げてやれという気にもなるのだ。