マイナーリーグ球団が米中間選挙の動向に戦々恐々のワケ
特に見逃せないのが球団職員、とりわけマイナーリーグで働く者たちへの影響だ。
マイナーリーグでは選手の給与を提携先の大リーグ球団が支払っている。だが、経営規模の大きくない多くのマイナーリーグ球団にとって、選手の給与の負担が免除されるだけでは必ずしも十分ではなく、必要最低限の人員で運営される球団も少なくない。
その際に重要なのが移民の労働者で、米国人であれば敬遠するような低賃金でもクラブハウスの清掃、グラウンドの整備などに従事している。
しかし、中間選挙での勝利を得るために保守層が受け入れやすい「移民受け入れの抑制」といった政策をトランプや共和党が唱えるだけでなく、実際に不法移民に加えて合法的な移民まで受け入れ制限を強化すれば、マイナーリーグの現場から安価な労働力が消えることになりかねない。
もちろん、インターンやアルバイト、さらに高齢者の活用、あるいは給与の増額などで対応することは可能だが、現場の混乱は避けられないだけに、マイナーリーグ球団の経営者たちは、トランプと共和党の主張する政策と中間選挙の動向から目が離せないのである。
(アメリカ野球愛好会代表、法大講師・鈴村裕輔)