巨人・阿部慎之助コーチ(後)小林vs大城の正捕手争いの行方と中田翔の復活「若手にもチャンスはある」
阿部慎之助(巨人・作戦兼ディフェンスチーフコーチ 42歳)
巨人・阿部慎之助作戦兼ディフェンスチーフコーチ(42)の独占インタビュー第2回は、昨季まで二軍監督として指導した若手について、「横一線」と言う正捕手争い、日本ハムでは主砲だった中田(翔)の復活はあるか。ズバリ直言した。
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ーー期待の若手選手はレギュラーを取れそう?
「現実的には簡単ではないだろうけど、ポテンヒットでもサヨナラヒットでも、まぐれでいいから結果を出して欲しい。それが自信になるから。捕手でいえば岸田、(今は二軍の)喜多、山瀬もそうだけど、若い選手が這いつくばりながら食らいついていけるか。せっかく原監督が『若い選手を使う』という方針を示してくれているんだから、彼らがどう思うか」
ーー正捕手争いがヒートアップしている。
「大きい口を叩かせてもらうと、ボクのように、捕手で4番を打って本塁打は30本、2割7、8分で70、80打点を稼いでっていうのは、はっきり言って難しいと思う。それぞれの個性やプレースタイルもある。捕手はやっぱり守備だけど、チームとしてある程度の打撃は求められる。小林は危機感を口にして変わろうとしている。自覚も出てきたけど、もっともっと大きく変わってもらいたい。『甘えちゃダメ』ってそこを日刊ゲンダイが突っ込まないと(笑い)」
ーーとなると大城が中心?
「いやいや、大城だって簡単にはいかないでしょう。しっかりしないと、カメ(亀井)が引退して抜けた左の代打になってしまうかもしれないよ。小林もそう。小林じゃなきゃダメだってことではないでしょ。全員にチャンスはある。岸田、喜多、山瀬らは若さがあるし、全員で刺激し合って競争を勝ち抜いてもらいたいな」
ーー小林は出遅れている。
「コロナ(感染)があったからそこは気の毒だけど、その時間に他の捕手は鍛練を積んでいるからね。(小林は)肩は強いけど、盗塁阻止率がズバぬけているかと言われると、そうではない(21年=被企図数13、盗塁刺5=.385)。そこはちゃんと見ないといけないよね。昨年は九回で終わりだったから、抑え捕手のような起用があった。今年は延長が十二回まであるので事情は変わってくる。先発捕手が九回まで守り切るのが理想だよね」
翔は何でも言ってきて欲しい
ーー昨年は二軍監督として「見逃し三振OK」など試行錯誤していた。昨年の二軍のコーチは「勉強になった」と話していた。
「そうなの? それはうれしいね。それならファームにボクの悪口を言うコーチはいないと思いますよ(笑い)」
ーーところで、阿部コーチはかなりやせた。
「病気じゃないよ(笑い)。毎朝10キロくらいランニングをやって20キロやせました」
ーー対照的に中田は体重を20キロほど増量して臨んでいて調子が良さそう。
「翔ほどの選手が増量したことを周囲が叩いちゃダメ。選手にはオンとオフがあっていいし、オフは増量していい時期。その時期にしかできないことだから。オンになって、ちょっとずつ締めていって理想の体をつくるんだよ」
ーー今は108キロでベスト体重に近いと。
「それならいいんじゃない。やって欲しいと思って球団も取っているわけだし、なんでも言ってきて欲しいしさ。元木ヘッドとボクが、いい雰囲気づくりをすることが大事。監督には言えないようなことでも、こちら側が全部受け入れちゃうよという雰囲気にしていかないといけない。それが大きな仕事だと思っています」
(聞き手=増田和史/日刊ゲンダイ)