巨人・阿部慎之助コーチ(前)“ポスト原”への覚悟、エース菅野、若手育成の現状を赤裸々回答
阿部慎之助(巨人・作戦兼ディフェンスチーフコーチ 42歳)
昨年まで2年間務めた二軍監督から一軍担当となった巨人の阿部慎之助作戦兼ディフェンスチーフコーチ(42)が独占インタビューに応じた。
新しい肩書の仕事内容、一軍に抜擢されている若手について、昨季不振だったエース・菅野、日本ハムでは主砲だった中田の両選手、「横一線」と言う正捕手争い、そして新たに契約を3年間延長した原辰徳監督(63)の後継者問題など、2回にわたり、語り尽くした。
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--新たにできた「ディフェンスチーフコーチ」の役割は?
「ピッチャーやバッテリーを中心に見るのは当たり前だけど、それだけでは面白くない。昨年まで二軍監督として見ていた選手が、このキャンプで一軍に入ったら、どういう立ち居振る舞いをするのか、というのは興味がありました。ボクは一切怒らないし、注意もしない。一軍は結果が全て。指摘するのは一軍から二軍に落ちる時ですね。ボクは若い選手を観察しています」
■若手が育っていないから引き上げて欲しい
--若い選手はここまでどうか?
「二軍から一軍に上がった時に選手はみんなの前で挨拶をする。『今日から一軍に合流しました。はい、じゃあ一言』と。みんな『チームの勝利に貢献できるように頑張ります』って言うんだけど、投手陣には『そういう挨拶はいらない。自分が何をするか、どうしたいかをはっきり言い切れ』と言ったんです。例えば『少ないチャンスでも与えられたところを絶対にゼロで抑えます』とか『負け試合で投げても投げる時は全部ゼロで抑えます』とか。具体的に何をしたいかをはっきり言うことが大事。そうすると自分に責任が生じますから」
--注目している若手は?
「球団には『若手が育っていないから何とか引き上げて欲しい』と言われているので、昨年まで二軍中心でやってきた選手は、みんな活躍して欲しい。中でも一軍に抜擢された堀田、山崎、中山、秋広あたりの若手は、このチャンスを逃さないようにしてもらいたい」
--宮崎の第1クールでエースの菅野とブルペンでかなりコミュニケーションを取っていた。
「“かなり”話してはいませんが、(宮崎では)S班で別だったし、『(菅野)智之が結構投げていますよ』ということだったので、1クールに一度は見に行こうと。あの時は第1クールだったけど、結構飛ばしているなという印象。(投手チーフコーチの)桑田さんがやろうとしていることがあるので、『投手陣として今年はこういうことをやろうというのは分かってくれ。(1次キャンプの)宮崎では自分の調整をしてもらっていいけど、(2次の)沖縄に行ったら若手の手本になってくれ』とお願いしに行きました」
菅野は桑田コーチの考えを浸透させる役割
--昨季6勝(7敗)と苦しんだ要因は?
「昨年は二軍監督だったので、あまり見ていませんが、桑田さんは投手陣の課題として『テンポとコントロール』を挙げています。智之もそういうところが甘かったのかな」
--菅野の役割は?
「『投手陣でこうするんだぜ』みたいなことを智之が言ってくれればありがたいなと。例えば、桑田さんが『投手はみんなでやってみよう』って言うのがチーフコーチ。投手陣全体にその考えを浸透させる役割を智之にはやってもらいたいし、できる存在だと思う」
--昨季は先発投手陣が苦しんだ。
「ボクは立て直せるわけではないけど、この投手は方向性を変えていけば少し変わるんじゃないかというのはあるので、助言というかフォローができればと思っています」
--昨年までの2年間は二軍監督。いずれは一軍の監督になる覚悟は?
■日本一のすごさを知って欲しいだけ
「ボクがこの先どうなるかなんて分かりません。覚悟というか、一緒に現役を戦ったプレーヤーが多いので、とにかく勝って欲しい。ジャイアンツが日本一になったら、こんなにすごいんだよっていうのを知って欲しい。ただそれだけ」
--それがチーフコーチの役割?
「もちろん、ボクが一軍のコーチになったから、日本一になって欲しいというのはあるけど、勝って欲しいという願望だけですね。原監督が『こうしていこう』と言った時、『そうしましょう』と言う人がいるかどうか。今年はオフェンス、投手、ディフェンスに分けられているけど、元木(ヘッド兼オフェンスチーフコーチ)さんと桑田さんとボクが、そこをどう動かすかが一番大事」
--いずれは一軍の監督になることを念頭に置きながら修業していると。
「それはボクが決めることではないですし、そのために修業しているわけではないですね。自分の経験や知見を深めて指導者として成長したいと思っています。球団には多くの役割の人がいて、その人たちがどう動いてくれているのかを観察したことで、少しずつですが、視野が広くなってきたのかなと思います」
--原監督は新たに契約を3年延長したが、今季から傍らでコーチを務めることは?
「間近でしか学べないことがたくさんあるので、どんどん吸収して全力でチームをサポートできるようにしたいですね」
(聞き手=増田和史/日刊ゲンダイ)