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武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

競歩はマラソンに代わる“第二のお家芸”…日本陸連は独自のロードレース観を打ち出すべき

公開日: 更新日:

 あらゆる競技にビデオ判定が導入されている中、競歩はその流れと相いれないきわめて独特な競技だ。

 大きく2つの規則で成り立ち、その1つに必ずどちらかの足が接地していなければならない「ロス・オブ・コンタクト」がある。

 体が浮いてはダメ=走ってはダメ。速さを競うのに走ってはいけないアンビバレンス(二律背反)こそ、競歩の本質であり魅力だ。しかも厳密にチェックすればどの歩行も浮いているとされ、ビデオ検証したら成立しない。

 近代競歩が追求してきたのは記録より、自制、規律、スポーツマンシップ──電子機器ではなく目視、それも衆人環視の中で行われる理由がそこにある。

 東京五輪は日本の首都のど真ん中、皇居二重橋を起着点とする2キロコースで行われる予定だった。猛暑を理由に札幌になったが本来は都会の競技なのだ。

 リオ五輪の50キロで荒井広宙が銅メダルを獲得して以来、日本は五輪や世界選手権で好成績を収め、マラソンに代わる“第二のお家芸”と言われる。日本陸連が澤木啓祐専務理事時代にテコ入れした成果だが、対極的な競走であるマラソンの陰で“風変わり”の印象が抜けきらず、歩形の美しさを愛でる目までは育っていない。普及・広報の遅れが残念でならない。

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