「無銭横町」西村賢太著

公開日: 更新日:

 20歳を目前にした貫多は、3カ月過ごした横浜を引き払い、要町の安アパートに引っ越す。これまでの怠惰な生活を改めようと、心機一転を期して横浜に行ったのだが、失恋と失業で決意はもろくも砕け、東京に舞い戻って来たのだ。しかし、その間に貫多は、作家・田中英光の小説に出合い、かつてない興奮を覚え、以来、田中の小説が心の支えとなってきた。さっそく神田の古書店へ足を運んだ貫多は、田中英光の作品を入手。その後も日雇いの日当からわずかな金を積み立て、家賃も払わずに田中の初版本を買いあさる日々が続く。(「菰を被りて夏を待つ」)

 無頼派私小説家の最新作を編んだ短編集。

(文藝春秋 1300円+税)


【連載】土曜あらかると

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…