「聖徳太子 世間は虚仮にして」三田誠広著
仏師(ほとけつくりのたくみ)を志す鞍作鳥(くらつくりのとり)は、仏教を学ぶために上宮王(かみつみやのみこ=厩戸皇子、のちの聖徳太子)の舎人となる。上宮王は、12歳にして、誰よりも経典に通じていた。ある日、鳥が上宮王に見守られながら、切り出してきた木と格闘していると、異様な殺気を放ちながら、上宮王の母・間人皇女(はしひとのひめみこ)が訪ねてくる。未来を透視する験力を持ち、大王の病が重いことを告げに来た間人皇女は、いずれ上宮王が国王になると予言する。しかし、上宮王は母が弟の穴穂部皇子(あなほべのみこ)を皇太子にしようと願っていることを見抜いていた。
謎に満ちた太子の生涯を大胆な解釈を交えながら描く歴史長編。(河出書房新社 2100円+税)