「東北朝市紀行」池田進一著
朝市に魅せられ、20年間撮影を続けてきた著者によるフォトエッセー。東北各地の朝市で出会ったおばさんたちとのおしゃべりを土地の言葉そのままに再現し、写真とともに紹介する。
青豆を粉にして水で練って焼いた「じんだもち」の作り方、食べ方をとつとつと語る人、持ち込んだ山菜が全部売れ「ここさ座って下さい、話しっこしましょ」と山菜について教えてくれた人など、約500年の歴史があるという秋田県の五城目の朝市で出会った人々をはじめ、山形県肘折温泉や、岩手県久慈など。観光朝市とは異なり、土地の人々の生活に密着した「市日」と呼ばれる市のざわめきの中から消えゆく伝統食や風習をすくい取った貴重な記録。
(こぶし書房 1800円+税)