「正楽三代寄席紙切り百年」新倉典生著
余芸だった紙切りを寄席芸に昇華させ、代々伝える大名跡・林家正楽3代の足跡をたどり、その芸と人間像に迫る。
初代は、大正5年、落語家を志し20歳で入門。2年後、普段は見せない余興芸を客に披露する珍芸大会が催され、二つ目に昇進していた初代は経師屋だった父が得意だった紙切りを見よう見まねで披露。それが評判となり、高座でも落語の後に見せることに。やがて、人気が下火になると、紙切りのお題を客からその場でもらって即座に切り抜くという一世一代の勝負に出る。
なまりが原因で落語に見切りをつけ初代に弟子入りした2代、さらに3代へと、代々受け継がれてきた紙切り芸の軌跡をたどる。(dZERO 2100円+税)