「語りだす奈良118の物語」西山厚著

公開日: 更新日:

 奈良国立博物館の学芸部長として多くの展覧会を企画運営してきた著者によるエッセー集。

 東日本大震災の数日後に記した「大地との絆」では、アニメ「風の谷のナウシカ」の主人公の少女と、東大寺の大仏を作った聖武天皇のエピソードを紹介しながら、「世界を救うことができるのは、深く傷つき、深く苦しみ、その真っただ中を歩み続けている人だけだろう」と被災地に思いを馳せる。

 また、正倉院の宝物である聖武天皇遺愛の品々をなぜ后の光明皇后は大仏に献納したのか、そして昭和21年に最初で最後の予定で開催された正倉院展が現代まで続いた理由などを明かす「正倉院宝物の力」など。仏教研究に裏打ちされた豊かな知見からつづられる文章に心洗われる。

(ウェッジ 1500円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  2. 2

    周囲にバカにされても…アンガールズ山根が無理にテレビに出たがらない理由

  3. 3

    インドの高校生3人組が電気不要の冷蔵庫を発明! 世界的な環境賞受賞の快挙

  4. 4

    田中圭が『悪者』で永野芽郁“二股不倫”騒動はおしまいか? 家族を裏切った重い代償

  5. 5

    中森明菜が16年ぶりライブ復活! “昭和最高の歌姫”がSNSに飛び交う「別人説」を一蹴する日

  1. 6

    永野芽郁「二股不倫報道」の波紋…ベッキー&唐田えりかと同じ道をたどってしまうのか?

  2. 7

    レベル、人気の低下著しい国内男子ツアーの情けなさ…注目の前澤杯で女子プロの引き立て役に

  3. 8

    芳根京子《昭和新婚ラブコメ》はトップクラスの高評価!「話題性」「考察」なしの“スローなドラマ”が人気の背景

  4. 9

    永野芽郁“二股不倫”疑惑「母親」を理由に苦しい釈明…田中圭とベッタリ写真で清純派路線に限界

  5. 10

    大阪万博会場は緊急避難時にパニック必至! 致命的デザイン欠陥で露呈した危機管理の脆弱さ