「日本の古典に学びしなやかに生きる」加賀乙彦著
長年読み継がれてきた古典は、時代を超えて人間の心に響く普遍性を持っている。さらに古典を読むことで自分の根底にある、ものの考え方をつかむことができ、「生き方」を学ぶこともできると、著者はその効用を説く。本書は、おすすめの古典のポイントとなる文章を原文より抽出し、現代文にかみ砕きながら解説してくれる入門書。
まずは鴨長明「方丈記」を取り上げ、「この世での住まい方」を考察する。安元3年の大火や、治承4年の竜巻などの災害を克明に描写した長明の観察眼に注目。宝物を集めて喜んでいることのむなしさを説く長明の文章は、現代人の心を打つものがある。その他、吉田兼好の「徒然草」など全4作に学ぶ。(集英社 1400円+税)