「南方熊楠の謎」松居竜五編

公開日: 更新日:

 日本の民俗学の創始者の一人で、生物・人類学者の南方熊楠(1867~1941年)は、破天荒な生活ぶりから変人奇人とされ、その学問的成果に目を向けられることがなかった。南方を再評価し、彼の思想の骨格を明らかにしたのが社会学者の鶴見和子の著作「南方熊楠-地球志向の比較学」(1978年)だった。

 本書は、同書以降の資料の発掘や最新の研究を踏まえ、鶴見と気鋭の研究者たちが南方の新たなる全体像に迫った座談会。鶴見が「南方曼陀羅」と名付けた真言密教に基づいたその独自の世界観。問答形式で学問を深めていったという南方の新たに見つかった書簡などを読み解きながら、さらなる広がりを見せるその世界観について論じる。

(藤原書店 2800円+税)

【連載】BOOKレビュー

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…