「下山事件 暗殺者たちの夏」柴田哲孝著
昭和24年5月、行政機関の職員26万余人を整理する「定員法」が可決。時同じくして「日本国有鉄道公社」が発足、初代総裁に下山定則が就任する。10万人規模の人員整理を課せられた下山は、他の労組からも馘首の象徴としてやり玉に挙げられる。
下山は、国鉄労働組合の右派勢力の情報を集める一方、日本交通公社を通じて旧満州鉄道の残党が設立した出版社に裏金が流れている証拠をつかむ。出版社の背後には、GHQのG2(参謀第2部)直属の特務機関の総帥・八板が社長を務める亜細亜産業がいた。下山の不穏な動きに気づいた八板は、機関のメンバーを動かす。
事件関係者を祖父に持つ著者が、昭和史最大の謎の真相に迫る長編小説。
(祥伝社 2000円+税)