ベストセラー読みどころ
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「落花」澤田瞳子著
時は平安時代中期。天皇の血を引く仁和寺の若き僧・寛朝は、辺境の地、坂東に旅立った。ただならぬ才気を秘めた楽人・豊原是緒から、「至誠の声」の教えを受けるためだった。 寛朝には楽才があり、中でも…
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「炎天夢 東京湾臨海署安積班」今野敏著
東京湾臨海署に、江東マリーナで死体が揚がったとの報が入り、強行犯第1係、通称安積班の面々が現場に駆けつける。被害者はグラビアアイドルの立原彩花。絞殺後、海に遺棄されたとみられるが、彼女のサンダルがマ…
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「愛なんてセックスの書き間違い」ハーラン・エリスン著 若島正、渡辺佐智江訳
ハーラン・エリスンは、アメリカのSF界を代表する短編小説作家。「世界の中心で愛を叫んだけもの」「死の鳥」などの作品で知られ、日本でも放映されたテレビドラマ「アウターリミッツ」「ヒッチコック劇場」など…
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「金剛の塔」木下昌輝著
聖徳太子が593年に創建した四天王寺は、最古の仏教寺院として有名だが、中でも威容を誇っているのが五重塔だ。しかし創建から250年ほど後に落雷に遭い、以後火事や兵乱により焼失し、7回も再建され、現在あ…
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「夢見る帝国図書館」中島京子著
小説家志望のフリーライター「わたし」が、国際子ども図書館の取材をした帰り道、公園で喜和子さんなる人物に遭遇するところから物語は始まる。喜和子さんは根っからの本好きで、なぜか「わたし」に図書館が主人公…
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「椿宿の辺りに」梨木香歩著
某化粧品会社の皮膚科学研究員、佐田山幸彦は、三十肩の激痛に悩んでいる。それは、存在の基盤を揺るがすような痛みだった。ある日、疎遠だったいとこの海子に所用で連絡すると、彼女もまた原因不明の痛みに苦しん…
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「ファクトフルネス」ハンス・ロスリングほか著 上杉周作ほか訳
低所得国に暮らす女子の何割が初等教育を修了するか。A20%、B40%、C60%。答えはC。もっと少ないと思い込んでいた人が多いのではないか。 本書の冒頭にはこうした3択問題が13項目並び、温…
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「検事の信義」柚月裕子著
物語は、東京地検から米崎地検に配属されて5年目になる検事・佐方貞人が、担当になった殺害事件に疑問を持ったところから始まる。 認知症だった母親・道塚須恵を息子・昌平が殺害した事件で、本人は介護…
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「シーソーモンスター」 伊坂幸太郎著
バブル景気に浮かれる昭和の日本。製薬会社のサラリーマン北山直人は、妻と母の嫁姑問題に頭を抱えている。2人は米ソ冷戦のごとく一触即発。医者の接待で疲れて帰宅しても、心休まるときがない。 お人よ…
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「鹿の王 水底の橋」上橋菜穂子著
2015年の本屋大賞受賞作「鹿の王」の続編。前作は東乎瑠帝国を襲った謎の疫病をめぐっての物語だったが、本書の舞台はその何年後かの世界。 東乎瑠帝国では次期皇帝争いが勃発、そんな折、オタワル王…
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「傲慢と善良」辻村深月著
西澤架はルックスがよく、女友達も多いモテ男。父から受け継いだ輸入ビール会社を経営している。坂庭真実は、親に逆らわずに生きてきた真面目なお嬢さん。2人は婚活で知り合い、2年後に婚約する。過去の恋愛を引…
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「死にがいを求めて生きているの」朝井リョウ著
看護師の白井友里子は、大事な友人が引っ越してしまうので不登校に陥っていた弟の翔太を元気づけようとしていた。そこで植物状態のまま病院に眠る南水智也を献身的に見守る堀北雄介に弟を会わせることを思いつく。…
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「続 横道世之介」吉田修一著
2010年に柴田錬三郎賞を受賞し、その後映画化もされベストセラーとなった前作「横道世之介」の続編。 本作では、大学はどうにか卒業したものの、バブル最後の売り手市場に乗り遅れてバイトとパチンコ…
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「ノースライト」横山秀夫著
大手設計事務所で腕を振るっていた1級建築士の青瀬稔はバブル崩壊で職を失い、妻とも離婚。そんな青瀬を救ってくれたのが大学の同期の岡嶋。岡嶋の設計事務所で働き始めてしばらく後、吉野という施主が青瀬に「あ…
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「東京の子」藤井太洋著
物語の舞台は、2023年の東京。オリンピック後の東京は、人口減を補うために受け入れた外国人労働者であふれていた。失踪する労働者も後を絶たず、彼らを連れ戻す仕事を請け負っているのが主人公の舟津怜だ。 …
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「怪物の木こり」倉井眉介著
「ぶっ飛んだ設定のおもしろさ」が審査員に評価され、2019年「このミステリーがすごい!」の大賞を受賞した話題作だ。 森の洋館に住む女マッドサイエンティストが逮捕される。裏庭から多くの幼児の遺体…
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「歌舞伎町ゲノム」誉田哲也著
法では裁けない極悪非道の者たちを始末する伝説の殺し屋集団〈歌舞伎町セブン〉シリーズの最新作。セブンは暴力団組長、歌舞伎町の老舗居酒屋の店長、ゴールデン街のバーのマスター、元警察官に現役の警察官という…
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「安倍官邸VS.NHK」相澤冬樹著
NHKといえば、かつてはジャーナリズム精神に基づく国民のための報道機関として一定の信頼を得ていたが、昨今信頼性に疑問を呈する声が大きい。官邸広報と化した報道姿勢に多くの人が気づき始めたからだ。 …
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「本と鍵の季節」米澤穂信著
高校の図書室を舞台にした青春ミステリー。堀川次郎と友人の松倉詩門は高校2年生で、図書委員。利用者の少ない放課後の図書室で、雑談しながら当番を務めている。 語り手の「僕」こと堀川は、一文の得に…
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「麒麟児」冲方丁著
慶応4(1868)年3月12日、西郷隆盛との会談を明日に控えた勝海舟は、ここまでの日々を思い起こしていた。 鳥羽・伏見の戦いに敗れ江戸へ逃げ帰った将軍慶喜は閑職に追いやっていた勝を呼び戻し、…