大高宏雄の新「日本映画界」最前線
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「流浪の月」22年上半期屈指の出来ばえ!広瀬すず、松坂桃李、横浜流星の“卓抜ポイント”
今年上半期、屈指の出来ばえを持つ作品と思う。「怒り」以来、6年ぶりの本格的な新作となる李相日監督の「流浪(るろう)の月」だ。 撮影は「パラサイト 半地下の家族」のホン・ギョンピョが担当した。…
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GW興行注目の2本「ファンタビ」「名探偵コナン」は過去の栄光を“上書き”する出色の出来映え
やはり、強力シリーズものは強い。このゴールデンウィーク興行に向けて、2本の新作が他作品を圧して大ヒットしている。公開順に、「ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密」(4月8日~、以下「ファ…
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Snow Man主演映画「おそ松さん」興収早々10億円超えのヒットの要因を深堀りする
「映画 おそ松さん」が4月3日、公開10日目にして興収10億円を超えた。ヒットと言っていい。赤塚不二夫さん原作の「おそ松くん」に登場する六つ子たちのその後の姿を描いたテレビアニメの「おそ松さん」が始ま…
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「バットマン」新作で振り返るナゾの興行史 正義vs悪だけでは計れない
バットマン映画の新作である「THE BATMANーザ・バットマンー」が公開中だ。バットマンは、日本人には馴染み深いが、国内ではある一定した興行を展開するケースが多く、これがなかなか興味をそそる。実写…
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コロナ禍で奮闘する「下高井戸シネマ」が多くの観客から支持されるワケ
コロナ禍の映画業界は今も多くの映画館が苦境に陥っている。都内を見渡しても、シネコン、ミニシアター、名画座などそれぞれに事情が違うとはいえ、厳しいことに変わりない。 そのような状況下で奮闘して…
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早くもアカデミー賞効果!「ドライブ・マイ・カー」と「おくりびと」の“違い”を紐解く
今年の米国アカデミー賞が例年にない注目を集めている。日本映画の「ドライブ・マイ・カー」(監督・濱口竜介)が、作品賞、監督賞、脚色賞、国際長編映画賞の4部門でノミネートされているからだ。 この…
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「大怪獣のあとしまつ」は東映と松竹の共同配給、クレジット表記に滲む舞台裏
2月4日から公開された「大怪獣のあとしまつ」は、まぎれもない「問題作」である。問題作というと、政治、社会問題に切り込んだ社会派作品に捉えがちだが、もちろん、本作はそうではない。 これまでの映…
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「コーダ あいのうた」は映画館のスクリーンで見るべき作品だ
映画やドラマなどを見たあとの反応として、「号泣する」という言葉をときどき目にする。本当に「号泣」なのかと思ってしまうが、ある映画を見て、まごうことなき「号泣」体験をした。1月21日から公開された「コ…
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無念すぎる「岩波ホール」の閉館…偉大なる歴史と功績を振り返る
残念というより、無念である。老舗ミニシアターの都内・岩波ホールが、7月29日をもって閉館することが決まった。 オープンしたのは1968年の2月。54年の長きにわたる歴史に幕を下ろす。同館から…
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加賀まりこ主演「梅切らぬバカ」が大健闘!“名タイトル”に込められたメッセージ
ミニシアターを中心とした今年の映画興行は、邦画、洋画ともにヒットが少なかった。クオリティーが高い作品が多いのに興行に結びつかないことが増えている。大問題である。コロナ禍でかねてから映画館に足を運んで…
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「シン・エヴァ」100億円超え、ディズニー作品不発…2021年の日本映画界を考察する
昨年同様にコロナ禍の影響をもろに被った今年の映画興行だが、現時点では昨年対比で110~120%台の興収で推移しそうだという。これをどうとるかはいろいろな見方がある。映画関係者に聞くと、この時世のなか…
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苦境続く成人映画…日活ロマンポルノ50周年の新作製作に期待すること
日活ロマンポルノが50周年を迎えた。東京に出てきた10代後半以降の若かりし頃から、夢中になって封切り作品を追いかけた筆者としたら、まさに感無量である。その歴史、思い出話、好きな作品については書かない…
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洋画不振が止まらない!つまらない予告編にも要因があるのでは?
昨年来のコロナ禍以降、洋画興行の不振が続いている。何本もの大作、話題作が低迷している。今年は「ワイルド・スピード/ジェットブレイク」(推定興収38億円)と「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」(推定2…
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007、DUNE、燃えよ剣…話題作の長時間化が顕著だが、観客のトイレ問題は?
映画の上映時間が、最近やけに長いと感じる。もちろん、今に始まったことではない。ただここ3週間ほど、上映される映画館数が多い拡大公開や、知名度も比較的高い娯楽大作の長時間作品が集中した。これはかなり珍…
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「ONODA」外国人が小野田寛郎の“物語”を製作した理由について考える
横井庄一と小野田寛郎の名を1970年代に知った人は当時、大きな衝撃を受けたと思う。第二次世界大戦が終結したあと、30年近くも南の島のジャングルに居続けていた。横井さんはグアム島、小野田さんはフィリピ…
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木村拓哉主演「マスカレード・ナイト」好調の波に乗って…「教場」の映画化を待望する
木村拓哉(48)主演の「マスカレード・ナイト」が公開初日から12日目で、早くも興収20億円を超えた。現時点では、今年公開された邦画の実写作品の興収トップは「東京リベンジャーズ」(推定43億9000万…
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沢口靖子主演「科捜研の女」は東映のもとで映画化されたことに意義がある
沢口靖子主演の「科捜研の女 -劇場版-」が公開中だ。面白い。コロナ禍の中、ダイレクトな問題提起を作品の中心点に持ってきた劇構造に見応えがあった。 健康に好影響を及ぼす、ある細菌使用をきっかけ…
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「孤狼の血 LEVEL2」今年最高級の傑作! 松坂桃李×鈴木亮平×村上虹郎×中村梅雀“演技の妙”
8月20日から公開された「孤狼の血 LEVEL2」が、今年最高レベルの傑作だった。刑事とヤクザの激闘を描き、往年のヤクザ映画の系譜につながる作品である。2018年に公開された「孤狼の血」を踏まえた作…
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ディズニー戦略に異変アリ!「フリー・ガイ」が提起する劇場公開と配信ビジネスの未来
先週8月13日からスタートしたアクション大作「フリー・ガイ」が、全国524スクリーンでの公開を果たした。ディズニー作品の500超えは本当に久しぶりで、背景として今年3月の「ラーヤと龍の王国」以来、同…
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市川崑総監督が示した記録映画「東京オリンピック」は今こそ見るべき
五輪真っただ中だからこそ、記録映画「東京オリンピック」(1965年公開)を是非とも見ていただきたい。今の五輪を考える上から、本作にはとても大きなヒントがあると思えるからだ。 この作品は周知の…