木曜日は夜ふかし本
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「暗い引力」岩井圭也著
「暗い引力」岩井圭也著 三島悠介は、中堅繊維メーカーに勤めるサラリーマン。妻・梨香と、家事や育児を分担しながら息子を育てている。朝に弱い梨香に代わって朝食を作り息子を保育園に連れていくのは悠介…
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「夜明けを待つ」佐々涼子著
「夜明けを待つ」佐々涼子著 家族、病、終末医療などをテーマに「エンジェルフライト」「エンド・オブ・ライフ」など大ベストセラーを生み出してきたノンフィクション作家の著者が、書きためてきた作品から…
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「歌われなかった海賊へ」逢坂冬馬著
「歌われなかった海賊へ」逢坂冬馬著 第2次世界大戦時のドイツ。16歳のヴェルナーは、幼い頃に母が病死し、父親はナチスを揶揄した夢を密告されたことでゲシュタポに逮捕され、死刑判決を受けて先日死刑…
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「すくえた命」塩塚陽介著
「すくえた命」塩塚陽介著 もしかしたら、途中でページを繰る手が止まってしまうかもしれない。それほどむごたらしい事件の全貌と、警察のズサンな対応がつづられている。 2019年10月。福岡…
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「月ぞ流るる」澤田瞳子著
「月ぞ流るる」澤田瞳子著 主人公は、かつて宮中で和歌の名手と言われていた朝児(赤染衛門)。長年連れ添った夫・大江匡衡を見送ったばかりということもあり、喪に服した生活を送っている。そんな折、宇治…
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「富豪に仕える」アリゼ・デルピエール著 ダコスタ吉村花子訳
「富豪に仕える」アリゼ・デルピエール著 ダコスタ吉村花子訳 日本では昔のドラマなどに登場した「使用人」は、欧米のある階層の人たちにとっては、今でも当たり前の存在だという。本書は、社会学者の著者…
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「誾」赤神諒著
「誾」赤神諒著 立花誾千代は、大友宗麟の家臣の戸次道雪の一人娘。道雪は、立花家の当主ではあったが、度々反した旧立花家に対する宗麟のわだかまりを考慮して自身は実家の戸次姓を通してきたが、娘には立…
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「神と黒蟹県」絲山秋子著
「神と黒蟹県」絲山秋子著 3市4町2村を擁する黒蟹県という架空の土地を舞台に紡ぐ8編から成る連作短編集。そこに住まう人々と地域の関係を、人と神様の視点で交互に描いていく。 「忸怩たる神」…
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「グリーンランド」高橋美野梨編
「グリーンランド」高橋美野梨編 日本の約6倍の面積を持ち、ほとんどが北極圏に位置するグリーンランドは、極東ロシアのチュコトカ半島から出発したアラスカやカナダのエスキモーたちの終着地であると同時…
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「文学キョーダイ!!」奈倉有里、逢坂冬馬著
「文学キョーダイ!!」奈倉有里、逢坂冬馬著 本屋大賞受賞作「同志少女よ、敵を撃て」の逢坂冬馬と、「夕暮れに夜明けの歌を」で紫式部文学賞受賞の奈倉有里は実は姉弟。奈倉が初の単著を上梓した1カ月後…
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「狙撃手の祈り」城山真一著
「狙撃手の祈り」城山真一著 青井圭一は、親代わりに自分を育ててくれた叔父から受け継いだ楽器店の店主。昨年亡くなった叔父が営んでいた楽器店の上階にある自宅に、取材をきっかけに結婚したフリーライタ…
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「カレーライスと餃子ライス」片岡義男著
「カレーライスと餃子ライス」片岡義男著 店で食べるカレーライスを木製のスプーンで食べたいと思った僕は、熟考の上、ケヤキのカレースプーンを選んだ。店も迷った末、京都の昭和12年創業の喫茶店のカツ…
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「首都襲撃」高嶋哲夫著
「首都襲撃」高嶋哲夫著 夏目明日香は、女性初の総理・新崎百合子付のSP。1年前に起きた官邸襲撃事件で体を張って新崎を守った際に、傷を負ってしばらく任務から離れていたが、新崎からの強い要望で再び…
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「ヒトラーの馬を奪還せよ」アルテュール・ブラント著 安原和見訳
「ヒトラーの馬を奪還せよ」アルテュール・ブラント著 安原和見訳 著者は自他共に認める有名な美術品探偵で、これまでも数々の美術品の盗難事件や贋作事件を解決したことで知られている。本書は、そんな著…
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「伝言」中脇初枝著
「伝言」中脇初枝著 満州・新京で暮らすひろみは、新京敷島高等女学校の生徒。憧れの学校に胸を弾ませて入学したのだが、非常時のために授業がなくなり、工場で軍事機密と称する作業に従事するようになった…
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「なぜ市民は“座り込む”のか」安田浩一著
「なぜ市民は“座り込む”のか」安田浩一著 米軍施設の7割が集中している沖縄では、いま、さらに辺野古新基地建設が行われている。工事車両の進入口ゲート前では、土砂運搬トラックが近づくたびに市民は路…
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「マリエ」千早茜著
「マリエ」千早茜著 物語は主人公の桐原まりえの離婚から始まる。40歳を目前に夫の森崎から「恋愛がしたい」と切り出され、最終的に承諾。理由には納得いかなかったが、まりえが感じるのは寂しさではなく…
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「化け者手本」蝉谷めぐ実著
「化け者手本」蝉谷めぐ実著 物語の舞台は、文政時代の江戸。元女形の田村魚之助と、なぜか彼のお供としてたびたび声をかけられる日本橋の鳥屋の藤九郎の元に、不可解な事件の話が持ち込まれた。 …
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「入り江の幻影」辺見庸著
「入り江の幻影」辺見庸著 ある夜、著者は犬の頭をなでながら暗然と「未来」を思う。いまより、よき未来がやってくると本気で信じている人はどれくらいいるだろうかと。 著者には妙な確信がある。…
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「レシート探訪」藤沢あかり著
「レシート探訪」藤沢あかり著 買い物をするたび店から渡されるレシート。店名や日付、品名、金額が記されたそれを見直すと、その場で会った人や話したこと、当時の気持ちや情景が浮かび上がってくる。著者…