ワインを最強のビジネスツールに
ビジネスや政治の世界において、ワインの知識は重要な武器になる。渡辺順子著「教養としてのワイン」(ダイヤモンド社 1600円+税)では、デキるビジネスマンなら知っておきたいワインの基礎知識から、コミュニケーションに役立つ話題のトピックまでを解説している。
「AOC法」という厳しい法律によってワインの品質を守ってきたワイン伝統国フランス。2014年にアメリカの3つ星レストラン「フレンチ・ランドリー」から総額3000万円にも及ぶ高級ワインが盗まれる事件が起こり、そのほとんどが世界一高いフランスワインとして有名なロマネ・コンティだった。
しかし、犯人が狙ったもうひとつのワインがあった。それは、ワイン通以外にはほとんど知られていない「スクリーミング・イーグル」。カリフォルニアのナパで産出される高品質な“カルトワイン”と呼ばれるワインの一種で、フランスの数ある銘醸シャトーを押しのけてワイン愛好家に崇拝されているのだという。
1980年代から金融関係者などの富裕層がリタイア後の趣味としてナパでワイン造りを始めたのが誕生のきっかけで、大量の資本をつぎ込んでビジネスとして発展。あえて生産量を抑えることでコレクターズアイテムとしてファンを増やし、「スクリーミング・イーグル」の年間生産量はたったの6000本。小売価格は1本約33万円にも上り、オークションでは、約430万円で落札されたこともあるというから驚きだ。
ほかにも、香港・中国市場の台頭、投資家が注目するワインビジネス、そして偽造ワインに狙われる日本の現状についても言及。ビジネスツールとして、ワインを学んでみては?