19歳上の映画監督と結ばれ半世紀を添い遂げた八千草薫

公開日: 更新日:

 ただ、この時点では淡い恋心に過ぎなかった。まだ、谷口には2番目の妻である女優の若山セツ子がいたからだ。しかし、映画のクランクアップから程なくして谷口は離婚。どちらからともなく交際が始まった。

 女手ひとつで八千草を育てた母親は、この交際に猛反対した。それを知った谷口は八千草に「いつまでもこんなことをしていてはいけない。付き合いをやめよう」と手紙を送った。これが逆に八千草の思いに火をつけることになった。手紙で別れを言うのは失礼だと電話し、帝国ホテルのロビーで会う約束をした。

 だが、いくら待っても谷口は来なかった。谷口はヨリが戻るのを恐れたのだ。八千草は女優とは思えない地味な格好でいつまでも待ち続けた。それをロビーの陰から見ていた谷口は切ない気持ちになり、八千草の前に姿を現した。待ち始めてから2時間以上が経っていた。2人は無言のままタクシーに乗り、横浜に行ってラーメンを食べた。2人にはすでに別れる選択肢はなくなっていた。

 新婚旅行は結婚式から5カ月後の57年12月。谷口の趣味は山登り。八千草は12キロ以上もあるリュックを担いで冬の北アルプスに登った。それからもエベレストをはじめ、国内外の山々に挑戦した。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動