夏樹陽子の人生最高の一杯 「フェラーリの運転席にドンペリが…」
御年61にしてこの美貌。まさに「ベテラン美人女優」と呼ぶにふさわしい。酒も相当イケる口――に見えるが、実はほとんど下戸だという。その代わりにハマっているのがクルマ。そのクルマでいいことがあると、やっぱり酒に結びつくようで……。
飲めないのに、お酒の楽しい席は好きだから、失敗談はいっぱいあります。高校の同窓会で無理してビールを5、6杯飲んだら、見るものがグルグル回りだして立てなくなっちゃったり、北海道にロケに行ったとき、ウイスキーを牛乳で割った「カウボーイ」という飲み方を教わり、おいしかったのでついつい飲みすぎたら、翌日、二日酔いでヒドい目に遭ったり……。
中でも思い出深いのは私のデビュー作「空手バカ一代」での失敗かな。劇中、「ヨロヨロと千鳥足で歩く」というシーンがあったんです。でも、それまで千鳥足になんてなったことがないから、撮影前にちょっと梅酒を飲んじゃった。で、まずは後ろ姿の撮影。コッチはフラフラに酔っぱらってるから一発OK。「なんだ陽子、やればできるじゃないか」なんてお褒めの言葉も。ところが、次の前向きのシーンでバレちゃいました。「陽子、顔が真っ赤じゃないか」「おまえ、ホントに酔っぱらってるな?」。結局、撮影は一時中断、駆け出しの新人なのに、周りのスタッフさんや主役の千葉真一さんを2時間以上お待たせすることになってしまいました。