田中哲司を一念発起させた 光石研の“アウトロー演技”
それで2浪して大学に行って、24歳で卒業して、しばらくは劇団やったり、プロデュース公演に呼んでもらったりと、舞台中心にやっていたんですが、やっぱり、映画やテレビドラマに出たい。そのためには事務所に入らないといけない、とずっと思っていたんです。でも、何者でもないんで、なかなか入れてくれない。
そんな頃、「Helpless」(ヘルプレス)っていう青山真治監督の映画を見た。それに光石さんが出ていて、「なんてうまい役者さんだ。ああ、こんな役者になりたい!」と思ったんです。調べたら、鈍牛倶楽部という緒形拳さんのつくった事務所でした。
それで、知り合いを通じて、社長に僕の舞台を見てもらったんです。鈴木勝秀さんが演出した「ザズウシアター」という舞台。それを見てもらって「まあ、声も出てるし、がんばってるし、とりあえず入れとけば」みたいな感じで入れてもらったんです。
■光石研の演技に衝撃
あのヘルプレスの光石さんの演技がなければ、僕は今、こんなふうになってなかったんですよね。どんな演技か、っていうと、演技とは思えない演技。片腕のないヤクザの役なんですが、もう、そのまんま! そんな演技、見たことなかったから衝撃でした。方言もピチッとできてて、もうメチャクチャいいんですよ!