俳優・美木良介が懐かしむ 寿司職人の父と飲んだ酒の思い出
酒は大学に入ってから再開するんですけど、先輩に無理に飲まされる酒だったりして、楽しめるようになったのはその後。酒を楽しむには“人”が大事、つまり誰と飲むかということです。楽しい会話ができれば、お酒はよりうまくなると思うんです。ボクは特に、父と飲むのが好きでしたね。
20代後半から14年前に結婚するまで、毎年12月28~30日の3日間、実家に帰って寿司屋を手伝うのが、ボクが唯一できた親孝行でした。店が終わった後、夜10時半から夜中12時ごろまで父と一緒に飲むのが楽しみで。2人でビールや日本酒を飲み、一晩で一升瓶をあけたことも。父はいつも明るくニコニコして、よくしゃべっていた。それを聞いているのが楽しかったんです。
父はボクに対してもそうですが、人に優しくて面倒見が良く、いつもたくさんの人に囲まれていました。自分のことより他人のために何ができるかと考える人で、「おいしそうな食べ物があったら、人に“どうぞ”ってあげられる人間になれ」とよく言っていました。ボクはそんな父を尊敬し、こういう男になりたいと思っていました。