<1>芝居の期間は朝から晩まで、妻のとよた真帆と話し合い…
現在、東京芸術劇場で、僕が演出している舞台「フェードル」が上演されています。もともと映画を撮っていた僕ですが、この舞台に主演する、とよた真帆(顔写真)と結婚したのをきっかけに舞台にも興味を持つことになりました。
とよたと結婚するまでの僕は、まったくといっていいほど舞台とは接点がありませんでした。だからもちろん、舞台がどうやって作られているかなんてまったく知りませんでした。しかし、とよたが2008年に出演した蜷川幸雄さんの舞台「リア王」に興味が湧いてきて、ぜひ稽古を見に行きたいとリクエストしたのが僕の芝居への入り口になりました。でも、その時は見に行くことができず、実際に初めて舞台の現場を見たのは翌年の蜷川芝居「コースト・オブ・ユートピア」。これで僕は芝居を演出してみたいと強く思うようになったのです。
決定的だったのは、舞台稽古を見た時でした。蜷川さんと役者さんたちのコミュニケーションのやり方、稽古しながら徹底的に話し合って作り上げていくやり方が、映画とは違うと思ったんです。しかし、僕は同時に、僕がそれをやったらどうなるのかという興味を強く抱いたのです。そして、痛切に「やってみたい」と思ったわけです。