組員の現状に迫る映画「ヤクザと憲法」 製作陣が語る秘話
阿 ヤクザをテレビで扱うのは難しい時代なので、やめてほしかったんですけど、彼(監督)がすごい勢いでまくしたてるから……。「ヤクザ、それでも人間」というところに迫れるならやってみようと思いました。
土 取材のために組員から電話番号を聞いて登録したら「LINE」でメールが送られてきたけど、返信するのはマズイなと。この作品で「彼らも同じ人間だよ」と訴えたいと言いながら、「LINE」は見て見ぬふりをするのは複雑で。ある組員が「せっかくだから食えよ」とたこ焼きをくれようとしたんですけど、これも利益供与になるんじゃないかと思って、「捕まるかもしれないからお金を払います」と正直に言いました。「差別じゃないか」と冗談ぽく言われたけど、少し寂しそうで。公平であるべきメディアの僕たちがこう思うのだから、世間からはもっと厳しい、ゴミみたいな扱いを受けてるんだろうなと改めて感じた瞬間でした。
阿 日本は「無菌社会」が好きでしょ。これはある種、イジメの構造とも似ているかもしれない。それを「暴排条例」が助長してるんじゃないかと。
土 彼らは自分のことを「ヤクザ」と言います。自分を少し蔑むような「テレビ屋」「ブン屋」と呼ぶような感じで。でも、初日の打ち合わせで阿武野さんが「自分たちが『暴力団』と呼ばれることについてどう思いますか」って聞いたら、急に空気がピリッとして困りましたよ(笑い)。